小泉進次郎氏陣営の“ステマ騒動”に見る、ネット世論操作の滑稽さと深刻さ

学びと解説

はじめに

ネットの声は民意の鏡」——そんな幻想を、私たちはいつまで信じ続けるのでしょうか?

2025年の自民党総裁選を舞台に、またしても政治とインターネットの“危うい関係”が露呈しました。
小泉進次郎氏の陣営が、ネット上での“好意的な空気”を演出するために、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)を行っていたと報じられたのです。

この記事では、このステマ問題の経緯と背景、そして関係者の対応を振り返りながら、現代政治における「見えない手」の存在と、それに対する私たちの“当惑”を掘り下げていきます。

ステマの舞台裏:コメント欄という名の戦場

2025年9月、週刊文春が報じたのは、まるで政治ドラマの脚本のような話でした。
小泉氏の陣営で広報班長を務めていた牧島かれん元デジタル大臣の事務所が、ニコニコ動画のコメント欄に“小泉賛美”の投稿を行うよう、関係者にメールで指示していたというのです。

しかも、そのメールには24個もの“模範コメント”が添付されていたとのこと。

あの石破さんを説得できたのスゴい
泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね
単純にいい人そうなんだよな~
チーム進次郎は仲間が多いからなあ

……なんとも味わい深い文言です。まるでファンが書いた応援メッセージのようですが、実際には“陣営発”の演出だったというのですから、驚きというより、もはや苦笑いしか出てきません。

さらに問題なのは、これらのコメントの中には、他の候補者を暗に貶めるような表現も含まれていた点です。
名指しこそしていないものの、読めば誰のことかは一目瞭然。まるで“匿名の悪口”を装った、計算高い戦略です。

なぜステマを?その裏にある“焦り”と“演出”

では、なぜ小泉陣営はこのような手法に出たのでしょうか。

一つには、ネット上での“自然発生的な人気”を装うことで、世論を味方につけようとした意図があると見られています。
SNSやコメント欄は、今や“民意の温度計”として扱われがちです。そこに「小泉さん、やっぱりすごい!」という声が溢れていれば、無党派層や若年層の支持を引き寄せられる——そんな皮算用があったのでしょう。

また、対立候補である高市早苗氏に対する牽制もあったとされています。
自陣営の評価を高めるだけでなく、ライバルの印象をじわじわと下げる。まるで“ネット版・選挙ポスターの貼り替え合戦”です。

「知らなかった」では済まされない責任の所在

報道を受けて、小泉氏は「陣営の責任は自分にある」と謝罪しました。
しかし同時に、「指示の存在は知らなかった」とも述べています。この“責任は取るが、関与は否定する”という姿勢に、世間の目は冷ややかでした。

一方、指示を出したとされる牧島かれん氏は広報班長を辞任。
元デジタル大臣という肩書きが、今回の件で皮肉にも“デジタル操作の象徴”として記憶されることになりました。

民主主義の“裏口”が開いている

この一件は、単なる選挙戦術の問題にとどまりません。
ネット空間という“見えない公共圏”を舞台に、世論を操作しようとする行為は、民主主義の根幹を揺るがすものです。

しかも、ステマという手法は、企業のマーケティングではすでに問題視されてきたにもかかわらず、政治の世界では“グレーゾーン”として放置されてきました。
今回の件は、その“裏口”がいかに大きく開いているかを白日の下に晒したのです。

まとめ

小泉氏のステマ問題は、私たちに問いを投げかけます。

ネットの声は、本当に民意なのか?

コメント欄に並ぶ言葉の裏に、誰かの意図が潜んでいるとしたら——私たちは何を信じ、どう判断すべきなのでしょうか。

政治とネットの関係は、今後ますます密接になっていくでしょう。
だからこそ、私たち一人ひとりが“情報の受け手”としてのリテラシーを磨く必要があります。

そして、政治家の皆さんには、どうか“本物の信頼”を得る努力をしていただきたいものです。

ステマではなく、誠実な言葉と行動で。

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