【2025年】訪問介護の倒産・廃業が過去最多に!介護報酬改定・人手不足・経営悪化の実態とは?

はじめに

訪問介護の灯が消える日
それはもう、始まっているのかもしれません。

うちのヘルパーさん、来月でサービス終わるって言ってた…
事業所が閉鎖するらしくて、急遽他を探してます

2025年現在、こんな声が各地の現場から聞こえてきます。
訪問介護事業所の倒産・廃業がかつてない勢いで増加し、もはや「静かな崩壊」とも言える事態に発展しているのです。

この記事では、
✔ なぜ訪問介護が今、急速に消えているのか
✔ 最新データと報酬改定の影響
✔ 介護“サバイバル時代”に突入した今後の展望

について、掘り下げます。

訪問介護とは?

訪問介護は、介護職員が利用者の自宅を訪問し、食事・入浴・掃除・買い物など日常生活の支援を行うサービスです。
高齢者が住み慣れた地域や自宅で暮らし続けるために不可欠なサービスであり、2025年問題(団塊の世代が75歳以上となる超高齢社会)を迎えた今、その重要性は一層高まっています。

訪問介護事業所の倒産・廃業が過去最多に

2024年度、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産件数は過去最多の179件に達し、そのうち訪問介護事業所は81~86件と全体の約半数を占めました。
また、休廃業・解散を含めると訪問介護の廃業は448件(前年比24.4%増)、倒産・廃業の合計は529件に上りました。

背景には、介護報酬のマイナス改定、人手不足、物価高騰、利用者獲得競争の激化など複合的な要因が指摘されています。

急増の主な要因

1. 介護報酬改定による収益悪化

2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が全区分で約2%引き下げられました。
たとえば「20分未満」のサービスは167単位→163単位、「30分以上1時間未満」は396単位→387単位と、すべての区分で減額されています。

この影響で、5割~6割の事業所が減収となり、特に地方や小規模事業所の経営悪化が顕著です。
訪問介護事業所の約4割が赤字という調査結果もあり、倒産・廃業の増加に直結しています。

2. 人手不足と職員の高齢化

2025年には介護人材が約37.7万人不足すると見込まれ、特に訪問介護ではヘルパーの高齢化が深刻です。
現場では、70歳以上のヘルパーが多数を占める事業所も珍しくなく、新規採用も困難な状況です。

3. 賃金水準と厳しい労働環境

訪問介護職員の賃金は依然として低く、重労働に見合わない処遇が離職や採用難を招いています。
2024年度以降、処遇改善加算の引き上げや2025年度の賃上げ目標(2.0%)などの施策はあるものの、現場の実感としては「加算申請の手間や制度の複雑さで十分な賃上げにつながっていない」という声も多く聞かれます。

4. 地域格差と運営コスト

中山間地域や地方では、移動距離や交通費の負担が大きく、効率的な運営が難しいため、廃業リスクがさらに高まっています。

利用者への影響

倒産や廃業が相次ぐことで、介護サービスを受けられない「介護難民が増加する懸念が現実味を帯びています。
利用者は新たな事業所を探す必要があり、自己負担の増加やサービスの質低下、生活の質の一時的な低下も指摘されています。

2025年以降の動向と対策

  • 新規参入も増加
    一方で、住宅型有料老人ホームの新設などに伴い、訪問介護事業所の新規開設も進んでおり、全体の事業所数は増加傾向にあります。ただし、競争激化と淘汰が同時進行しているのが現状です。

  • 外国人介護人材の活用
    2025年以降、特定技能外国人の訪問介護従事が解禁され、労働力不足の解消やサービスの質向上が期待されています。

  • ICT・テクノロジー活用
    記録システムや遠隔モニタリングなど、業務効率化や負担軽減のためのテクノロジー導入が進みつつあります。

  • 政府による報酬引き上げ方針
    2025年5月、政府は医療・介護分野の公定価格(報酬)引き上げを明言し、事業所の経営安定や人材確保に向けた具体策が年末までに示される予定です。

まとめ

訪問介護事業所の倒産・廃業が過去最多となった背景には、介護報酬の引き下げ、人手不足、賃金の低さ、地域格差など複数の要因が複雑に絡み合っています。
このままでは、介護を必要とする高齢者が必要なサービスを受けられなくなるリスクが高まります。
今後は、報酬制度の見直しや職員処遇改善、外国人材の活用、ICT導入など、多角的な対策が求められます。

介護業界の現場は厳しい状況が続きますが、持続可能なサービス提供体制の構築に向けて、今後の政策動向や現場の創意工夫に注目が集まっています。


参考リンク

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